遙の日記・独り言

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2002年 12月 その1


クラッシックバレエのレッスンが私のために
何度も中断する。皆に申しわけなくって、
早く上達しなきゃ、って焦る。
私の身体が堅いのは、
きっと、冬のせいだと思う。
寒いからだ。きっと。



2002年 12月 その2


身体が痛い。死ぬほど痛い。



2002年 12月 その3


レッスン場の駐車場に車を止める。
車から意気揚揚と出れず、エンジンを止め、
15分くらいうつむく。
レッスン開始10秒前にクラスに飛び込む。



2002年 12月 その4


ミュージカル界のスターに電話で
「バレエが辛い」とこぼす。
「私もクラッシックバレエの専門用語はわからない」と
私を励ましてくれる。
「背伸びってルルベっていうのって知ってた?」
「それくらいは知ってる」
「まわるのをピルエットっていうって知ってた?」
「それも知ってる」
「・・・・」
「今度教えてあげるよ」と言われる。



2002年 12月 その5


プロダンサーたちと忘年会する。
どんなに酔っぱらってても、
「ほら、こうするんだよ」と私の目の前で
ピルエットする姿は美しい。
プロってすごいと思った。
3人がかりで私に教えてくれた。
飲みながら、朝まで皆でクルクル回った。
皆が口々に言った。
「カルチャーセンターとかの
バレエクラスなんかがいいよ。初心者には。
間違ってもバレエ団とかには入っちゃだめだよ。
半端じゃなく厳しいから。」
「その通り。遙さん、どこ入ったの?」
「・・・バレエ団。」
皆、黙って酒を飲んだ。



2002年 12月 その6


作家から失楽園鍋に招待される。
小説「失楽園」の主人公が青酸カリを飲んで
死ぬ直前に食べた、主人公の好物だそうだ。
クレソンと鴨の鍋。プラス、シャトーマルゴー。
あまりの美味さに、のけぞって床をころがる。
主人公はバカだと思った。
生きていれば何度でもこれを味わえるのに。
それだけでも、生きる価値はあるのに。



2002年 11月 その1


文芸春秋の『日本の論点』の論者100余名に
選ばれた!
これはすごいことだということくらい、
自分でもわかる。
まさか写真は載せてはもらえないだろうと思ったら、
載った!
これはむっちゃすごいということも、
わかる。
写真は私から始まっていた!
これは、これ・・・・
ぐちゃぐちゃすごいことだと思う。
私の下は安部官房副長官なのだから。
まさか、チラシの写真には
選ばれていないだろうと思ったら、
選ばれた!
こ・・・・こ・・・・これ・・・・これは!
チラシの写真だけは、
なぜか私のデビュー時の写真だった。
それが私だと気づく人はいなかった。
こんな哀しいことがあるんだと思った。



2002年 11月 その2


新派の舞台を見た。
藤間紫さんは、テレビのワイドショーでしか
見たことがなかったが、
舞台では、なんともまあいい女でびっくりした。
現役って素晴らしいと思った。
私も80代まで現役でがんばりたいと思った。
・・・・・って、何の現役?
私が昔、女優の駆け出しだったころ、
一緒に出ていた女優が
その舞台にでていた。
そこだけは、時が止まった。
胸がどきどきした。
休憩時間にそば食べた。
アイス最中も食べた。
ホットコーヒー飲んだ。
私は作品に出るのが好きなのか、
作品を書くのが好きなのか、
作品を見るのが好きなのか、
実は休憩時間にものを食べるのが好きなのか、
わからなくなる。



2002年 11月 その3


クラッシックバレエを始めた。
私はいったい、どうなりたいのか、
ほんとうにわからない。



2002年 11月 その4


中村勘九郎さんの、中村座を観た。
たった一人でも伝統や格式は変えられる。
そこに感動さえあれば。
いい勉強になった。
なんで自分がこの仕事を選んだかを思い出した。



2002年 11月 その5


レオタードもシューズも皆そろえた。
一見、いっぱしのバレリーナになった。
私はどこまで走るのだろう。



2002年 10月 その1


モモコに赤ちゃんが生まれた。
女の子だった。
顔を見ながら、クラッシックバレエを
いつから習わせようかと算段した。
女の子の人生設計は、
参加するだけでも楽しい。
彼女のお腹がペッタンコになって、
ほんとによかったなあと思った。
これで、 また、お洒落ができる。



2002年 10月 その2


福井にロケに行った。
カニが食べたいとリクエストすると、
カニを食べさせてくれた。
カメラマンに「おいしそうに見える?」
と聞くと「とっても」というので、
スタッフ一人に一本づつ
カニの足を口に入れた。
皆幸せそうだった。
カニはすごい。
魚のキモを食べた。
カメラマンに
「おいしそうに見える?」と聞くと、
「いいえ」と言った。
なんでそうお見通しなんだ。
びっくりした。
「私、幸せそうに見える?」って、
聞こうと思ってやめた。



2002年 10月 その3


香港にロケに行った。
香港で一番よくあたるという占い師が、
「あなたは長い間不幸だったね」と言った。
スタッフ全員が「そんなばかな」って笑った。
私だけが、ぎくりとした。
日本に帰って家族に言うと、皆爆笑した。
兄が「お前は最高に幸せやないか」と言った。
私は兄が幸せに見えた。
香港ではペニンシュラホテルに泊まった。
分厚いガウンでBGMガンガンにかけて、
フワフワの絨毯歩くと、確かに幸せだった。
一泊旅行だった。
もうちょっと、なんとか、こう、ならんのか・・・・。



2002年 10月 その4


北海道で、空港で寿司食べた。
なんで大阪の梅田のすし屋より高いのか、
ワケがわかんね。
ウニ800円って・・・。
梅田は300円なのに。
熊本で、空港のみやげ物売り場で、
からしれんこんを、試食した。
からしだらけで、びっくりした。
つまようじに刺さったれんこんごと、
マネージャーを追いかけたが、逃げられた。
一口くらい食べて、一緒にキャーって
言いたかっただけなのに。
さつま揚げも、試食した。
美味いって言って振り返ったら、
私一人だった。
試食売り場で、私は孤独だった。



2002年 9月 その1


もう、朝か夜かわからないほど原稿ばっか書いた。
私より愛犬が神経症になった。
生き物はかまってあげないと、
健康に生きていられないんだ。
恋人もかまってあげないと、
健康なお付き合いができないんだ。
私は私だけをかまうのが精一杯だ。



2002年 9月 その2


石井竜也のコンサートに行った。
洒落な男性ってやっぱ好きだと思った。
「もっともっと」
「きっともっと」って歌いながら帰った。
もういいかげん汚いファッションが
流行らなくなってほしいな。
ジーパンもあきたし。
町中、石井竜也だらけになってほしいな。



2002年 9月 その3


歌舞伎町のホストクラブに行った。
40人くらい、石井竜也まみれになってみた。
朝まで遊ぶと2日がつぶれる。
もう使い物にならない私。



2002年 9月 その4


渡辺淳一さんのラブレター集
『キッスキッス』を読んだ。
本人にもお会いした。
軍人の「写真ちょうだいね」の「ね」が好きだ。
坂口安吾の「とにかく会おう」の「とにかく」が好きだ。
ラブレターはいいね。どんな偉人でも、ただの男で、
息遣いが聞こえてくる。



2002年 8月 その1


新幹線に子供が多い。
自分は子供だらけの家で育ったくせに、
子供が子供であるということが許せない自分がいる。
よくできた子供が好きだ。
よくできた犬も好きだし、よくできた友達も好きだ。
きっと、私だけがわがままだ。
車内で子供と目が合った。・・・・睨んだ。



2002年 8月 その2


ラスベガスに行った。
飛行機は満席だった。
10時間の旅だ。
隣の席が、外国人の男性の巨漢のタイプ
ではありませんようにと祈った。
そしたら、隣の席は、
外国人の男性の巨漢タイプだった。
こういう勘だけが、それだけがよく当たる。



2002年 8月 その3


ずっとこもりっきりで原稿を書いていたら、
犬に元気がなくなった。
医者に見せたら神経症だった。
目も病気で、耳も病気だった。
観葉植物は夏だというのに、枯れた。
私の部屋は草木も育たない。
ヘシャゲタ気分回復に、カラーコンタクトを買った。
目が青くなったら、少し元気が出た。



2002年 7月 その1


北海道に行く。
素敵なホテルは結婚式で賑わっていた。
そこで講演する。
はじめて網走に行く。
博物館には当時の網走刑務所が再現されている。
風呂場では、刺青いれた人形がいた。
そこに説明文で「からくりもんもん」と書いてあって笑った。
「からくりもんもん」って、お菓子の名前みたいだ。
「くれーむぶりゅれ」と「からくりもんもん」と違和感がない。
なんて可愛いネーミングなんだろうと思った。



2002年 7月 その2


北海道の帯広に行く。
ホテルに入るとロビーで結婚式をしていた。
また、講演する。
素敵な公園があったので、運動靴買って仕事前に走った。
むっちゃ気持ちよかった。
それで・・・・・仕事を遅刻する。

サイテー。



2002年 7月 その3


北海道大学の先生と知り合う。
北海道の湖畔を走り、
素敵な宿に泊まりたいというと、
宿を紹介してくださった。
10月はそこに行く!・・・・って、雪か?!



2002年 7月 その4


中国製ダイエット薬で被害者が出た。
私はジョギングで太らないようにしている。
でも、2週間続けてようやく数百グラム落とせても、
一回の食事会で、だいなしだ。
よほど孤独に生きないと、夢など叶いそうにない。
理想体重を維持している人はきっと、どの付き合いも
断っているんだろうな。
毎日葛藤してる。



2002年 6月 その1


サイン会した。
たくさん来てもらってとっても嬉しかった。
「あなたが遙さんですか」と、
「あなたが見てくださってる方ですか」
という出会いは不思議とおもろい。
応援してくださる方の顔を記憶に刻みつけておこう。
ひとつひとつの顔の数のぶんだけ、がんばれる。



2002年 6月 その2


ミュージカルを見た。
肉体は正直だと思った。
鍛え上げた体とそうでないものが如実に出る。
ほんの少し腹が出て、ほんの少しだけお尻が落ちてるだけで、
ああきっと夜中にポテトチップ食べちゃったんだろうなって
踊り見ながら思ってしまう。
痛感しながら深夜、チョコパイ食べた。
なんなんだ!どうなんだ!



2002年 6月 その3


宝塚歌劇見た。
きっとトップスターになるんだろうな、この人、
という役者を見るのは感動だ。
ずっと見つづけよう。スターになる日まで。
きっと、ずっと、もっと、感動できる。



2002年 6月その4


USJ行った。
なんであそこあんなに楽しいんだ。・・・・私は暇か。



2002年 5月 その1


六本木のクラブをはしごする。朝まで踊る。
夜明けにスターバックスに行き、始発を待つ。
酔いどれだらけのスターバックスのなかで、
私だけがシラフで朝をむかえる。
カーテンのないマンションに帰り、朝日に顔をゆがめ、
「いったいいつになれば買うんだ、カーテン」と窓を呪う。
仮眠して代官山の服屋で一日を過ごす。
服を選んでいるときが、最も希望に輝くときかもしれない。
皆、服屋で明日の素敵になれるかもしれない
自分を買うんだと思った。私のGW。



2002年 4月 その1


NYに行った。テレビで一瞬見たあの“黄色いドレスの女性”に
会いに行った。前から3番目の席で「コンタクト」を見た。
ロビーで募金を集める彼女をずっと見た。芸術って、一人の
人間の魅力を最大限に引き出してくれる。魅力に出逢うと、
生きててよかったと心から思える。
“青いドレスの女性”は私みたいだった。喋りすぎ、動きすぎ、
笑いすぎの女性の物語。なんとも切ないショーだった。 しかし、何回海外旅行をして、キーを部屋に忘れたり、
お金足らなかったりするんだ。
何度も、途方に暮れて一人、摩天楼を見上げる。



2002年 3月 その1


事故ばかりする友達連れて、成田山不動尊に御払いにいった。
買ったばかりのカーナビで探すと、成田山不動産とか、
株式会社成田山とかばかりで、探せなかった。
結局、道路標示板見て車走らせた。
カーナビっていつ役にたつのだろう。

太鼓が鳴ったり、火が燃え上がったり、お経とか、すごかった。
テーマパークより盛り上がった。
御払いって、気に入った。
いろんな神社でやってみーよおっと。



2002年 2月 その1


台湾に行った。
飛行機で何人かのスチュアーデスさんから「好きです」と言われた。
なんか、いっぱい物もらった。
連れが怪訝な顔していた。
滞在中の食事はすべて、飲茶に挑戦した。
意地で飲茶しか食べなかった。理由もなく飲茶だけを食べた。
台湾のクラブは、真面目そうな男女別グループが
ナンパもせず踊りに熱中していた。
健全なのか不健全なのか。
私もコロナビールくわえながら踊った。
外は朝だった。
グチャグチャの街角からひょいと、金城武が出てきそうな、
そんな街だった。



2002年 2月 その2


もう、二月だ・・・。
誕生日やんか・・・。
電話ちょうだいという同窓生に、やっと連絡できたのが2年後。
そんなに忙しいのかと叱られた。
2年間忘れたわけじゃなかったんだ。
日本に帰ってきたから逢おうという友達に、
やっと会えた。というかマンションに突然来た。
一年経っていた。
冷たい目で「なにやってんの?」と聞かれた。
働いてばかりで、友達おれへんやんか。
誕生日も仕事やし・・・。
どうすんの。
あまりに友達に連絡しないので、同窓会の幹事をやらされることになった。
・・・・どうすんの。



2002年 1月 その1


2002年の幕開けは、どっぷり日本風にした。
おせち料理に着物と初詣。
元旦は雨で嬉しかった。
着る機会のなかった雨コートに着物の袖を通し、
番傘さして完璧に仕上げた。
不思議なことに、番傘の紙が雨で濡れると破れてきた。
どうやら日本舞踊用の傘を持ってきてしまったらしい。
ビニール傘をさしたら、傘の骨が髪にひっかかって取れなくなった。
「助けて」と叫ぶと、喧嘩相手の甥がはずしてくれた。
お年玉と、喧嘩と、モチと、酒。そして、神社での記念写真。
今年も一年が始まる。