介護と恋愛

私の恋はN.Y.から始まった。
私は女優の卵、
彼はパイロットを目指す若者。
ニューヨークにダンスのレッスンに
行った帰り。「ヘイ!タクシー」と
タクシーを止める彼の姿はカッコよく、
夢のような日々だった。
だが、帰国して数年がたち、私は
女優にはなれずタレントになっていた。
おまけに高齢の父のボケは始まる。
そこへ、かつての恋人"ロバート"
(日本名:ただし)が帰国。
ここから、恋と介護に引き裂かれ、
揺れ動く、怒涛の日々が始った……。
毎日のウンコとの闘い、
その間をぬって続く仕事とデート。
怒鳴りつけられるかと思っていた結婚の
申し込みがすんなり受け入れられたかと
ほっとすれば、結納の場で、
父はそのことをすっかり忘れている……。 やっとの思いで父を見送ってみれば
恋人は言った。
「二世帯住宅を立てようと思うんだ。
きみ、僕の親の介護をしてくれる?」

 笑ってはいけないと思いながらも
思わずクスクスっとし、片方で熱く
こみ上げてくるものを感じさせる、
著者の新境地を開く
ドキュメントエッセイ。

 ゲラゲラ笑いながら読んでたのに、
気がつくと泣いている。
そんな本です。

●目次からの抜粋●
恋と痴呆は突然に/ロバートがただしになった日/ゴルチェをウンコがだめにする/玉造とEAST VILLAGE/サバイバルの掟/ただしの会社の差別と平等/肉食獣とオカマの接近遭遇/最大の不幸はその時起こった/それでも結納は進む/お妾さんと喋った日/デート中毒―――汝、我を罵りたまえ/なんでリハビリやんの?/ゴキブリほどの正義を抱いて/オムツという宇宙を
さまよえば /「もうあかん」が言える関係/リングから下りたサイボーグよ、その痛みを称えよ/踊る・踊る・踊る・踊る輪舞/死亡通知/恋は介護と共に去りぬ/選択――父の墓の前で そのほか

【書名】介護と恋愛
【著者】遙洋子(はるかようこ)
【定価】本体1300円+税
【体裁】四六判並製・216頁
【発行】筑摩書房