2012年 1月○日 カニ

城崎から松葉カニを取り寄せた。
箱から飛び出しそうなイキのいいカニだ。
「さばける?」
「さばける」と友達。
「殺せる?」
「殺す」
「どうやって?手足を切って?」
「生きたままは難しいから、まず、熱湯をかけて・・・殺す」
うわあああ、と、胸が乱れた。
「まず殺すん?」
「殺さな、切られへん」
友達はかるーく、包丁を突き立てた。
カニは手足を急にバタつかせた。
「ほらな? 暴れるから切られへん」
「苦しんでるっ!、命をもてあそんではだめ!」
涙が出た。
「泣いとーる」と友達が笑う。
熱湯に入れた。
高級松葉カニは突然、巨大なクモのような形にまるまった。
命を奪うところから調理したら、大好きなカニが食べられなくなった。
吐き気と苦しむ私に友達が言った。
「なんで、死んだん買うてきいひんかったんや!」
もう2度と、生きたカニは買わない。
というか、カニはしばらく食べられそうにない。

遙洋子

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